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Posted by 株式会社 群馬webコミュニケーション  at 

2008年01月15日

縛られ地蔵

 今はむかし。
 貝沢堀(飯塚町)の近くに、身上をのみつぶすほど酒好きの男がいました。
 ある春の日のこと。
 男は昼間から酒を飲み、貝沢堀の土手にひっくり返ってトロトロしておりました。
 すると夢を見ました。堀の中から突然地蔵様があらわれて、
「わしは、この貝塚堀に沈んでおる地蔵じゃ。もし、お前がこのわしを堀から引き上げて、深く信心するならば、必ず福をさずけよう。」
 と言って、また堀の中へ、すっと消えたのです。
「奇態な夢を見たもんだ…。」
家に戻ったあとも、どうにも、夢のことが気にかかります。
 男は思いきって、堀の底をさぐってみました。
 すると、たしかに夢にあらわれた、お地蔵さまが沈んでいるではありませんか。
 男は地蔵様を堀から引き上げると、土手に安置し、お告げ通りに朝晩手を合わせました。
 それからというもの、男に運が向いてきた。
 することなすこと、うまくいく。日照り続きで、村じゅうの家が不作でも、男の田や畑だけは豊作になる。川に網をかけても、面白いほど魚がかかった。
「ありがてぇ、ありがてぇ、これもみんな、お地蔵様のおかげだ。これは心を入れかえてまじめにかせがなくては、ばちがあたる。」
 男は、好きな酒を地蔵さまに進ぜて、酒を断ち、まじめにかせぐことを誓いました。
 そして人が変わったように、働き出したので、何年もしないうちに、村一番の身上を築きあげることが出来ました。
 やがてこの地蔵様のご利益が、あたりの村や町に聞こえて大評判となりました。
 われもわれもと毎日大勢の人が、ご利益をもとめて、地蔵様のところへおしかけます。
 来る人来る人、男のまねをして、酒をあげては願をかける。
 地蔵様の前には、竹筒に入れた酒が山と積まれ、土手にできた参道は、酒を入れた竹筒を商う露店で、にぎわったそうです。
 いつしか、村の若い者たちは、朝から地蔵さまの奉納酒に酔いしれて、働くことを忘れたのです。
 村の田や畑は、いちめん草におおわれました。
 困りはてた年寄りたちは、とうとう、おそれながらと奉行所に訴えました。
 けれど奉行所も、酒を飲んだというだけで、村の若い者を捕まえるわけにはいきません。
 頭をしぼった役人は、大勢の家来を引きつれて、村に出張って地蔵さまの前にたち、
「そこな地蔵、おのれが酒を飲むばかりか、村の若い者を、酒浸りにした不届き者、とくとせん議してくれるゆえ、神妙にお縄につけ。」
と、地蔵さまを縛りあげ、そのまま、大八車で、奉行所へ引っ立てました。
奉行所のいきな計らいで、参詣人のとだえた村は、もとのように静かになりました、
 若者たちも、きもを冷やして、また、せっせと働きだしました。
 それから三年、地蔵様は奉行所から出されることになったが、村では引き取り手がない。
 そこで長泉寺の和尚が引き取って、今が今でも大切に、境内にまつっておられるのです。

  


Posted by はなもぐ  at 09:30Comments(1)むかしばなし